リアルな秘めゴト
小さい頃から、絵を描く事が大好きだった。
仕事で多忙を極める両親に迷惑を掛けないようにと、毎日スケッチブックに可愛らしい女の子を描いていた。
その影響でマンガ家になりたいという夢を持つようになり、必死に編集部に自分の作品を送り続けていた結果が、今のあたしだ。
中学二年生で“天才マンガ家・河原ルカ”としてデビューして以来、連載を持つようになり、ファンレターの数も増えた。
でも…今の自分が生み出す世界は、何かが違う。
何かが、足りない。
大切な事を、忘れている。
「ルカ先生、最近スランプ気味ですよね?」
「………」
「プロットを読んでも、ペン入れをして世間に発表した作品を読んでも、何かパッとしない」
「…自分でも、自覚してます」
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