リアルな秘めゴト
「今のルカ先生は、自分が酷な評価を受けている事実を、受け止めようとはしていませんから」
「―――っ…」
「胸が痛む事実でも、キチンと受け止めて前に進まなければ、立派なマンガ家にはなれません。その事を、ちゃんと理解して下さい」
―――今の一言で、ピンと来た。
未熟な作品の掲載を承諾した、朝倉さんの気持ちが。
きっと、朝倉さんは…あたしに、向上心を与えようとしてくれていたんだ。
河原ルカらしくない、批判を受けそうな作品をあえて掲載させて、マンガ家とは何か、いい作品とは何かを、あたしに教えようとしてくれていた。
大型プロジェクトを背負うという事は、今まで以上に風当たりも厳しくなるかもしれないし、責任も強くなる。
朝倉さんは未熟なあたしを成長させて、プロジェクトに相応な作家に育てようとしてくれていたんだね。
辛くて、何度も泣いたり、くじけたりした。
だけど、これが朝倉さんなりの、優しさだったんだ…。
「…やらせて下さい」
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