リアルな秘めゴト



「何か言いました?」



「やらせて下さい…。あたしに、チャンスを下さい…!」




強気で冷淡な朝倉さんに負けないように、あたしは自分の意志を告げる。


きっとこの言葉も、あたしが向かうべき場所に導いてくれる為の、朝倉さんの見えない優しさが詰まった言葉。


もう、惑わされないから。




「今思うと、あたし、ずっと自分の作品にうぬぼれていました。人気作家という事実に、舞い上がっていただけでした」




朝倉さんは口を閉じ、あたしの言葉を耳にしてくれている。




「だからあたしは、自分の作品の欠点も見抜けずに、ここまで来てしまったんだと思います。

―――でも今日、大事な友達が、その欠点を見つけ出してくれて、あたしにズバッと突きつけてくれたんです」




それは希美が発した、「いかにも“マンガです”って感じがする」という、何気ない言葉。




.
< 24 / 30 >

この作品をシェア

pagetop