リアルな秘めゴト
「何か言いました?」
「やらせて下さい…。あたしに、チャンスを下さい…!」
強気で冷淡な朝倉さんに負けないように、あたしは自分の意志を告げる。
きっとこの言葉も、あたしが向かうべき場所に導いてくれる為の、朝倉さんの見えない優しさが詰まった言葉。
もう、惑わされないから。
「今思うと、あたし、ずっと自分の作品にうぬぼれていました。人気作家という事実に、舞い上がっていただけでした」
朝倉さんは口を閉じ、あたしの言葉を耳にしてくれている。
「だからあたしは、自分の作品の欠点も見抜けずに、ここまで来てしまったんだと思います。
―――でも今日、大事な友達が、その欠点を見つけ出してくれて、あたしにズバッと突きつけてくれたんです」
それは希美が発した、「いかにも“マンガです”って感じがする」という、何気ない言葉。
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