キスより先はお断り!
 なんで悠里はあたしを選んで、あたしは悠里を選んだのだろう……?

考えれば考えるほど悲しくて、だから、答えがほしい。


「“それに”?」


 本当は言うつもりはなかった。

安堂くんには、ちゃんと断るつもりだったから。


 でも、悠里にも想ってほしい。

あたしのこと、真剣に受け止めてほしい……!!



「ちゃんと『好き』って言ってくれたもん!」


 意を決して言ったあたしの言葉。
 
驚くと思っていたのに、思いのほか、悠里はふうんといった様子だった。

これもオトナとコドモの違いなのかと思うと、また切なくなる。



「悠里は、いつも自分ばかりじゃん……」

 不満を口にしてみると、改めて実感してしまう。


 授業のあと勉強みてもらうときも。

だれもみてないから、って身体に触ってくるのも。

いつだって連絡するのはあたしで、悠里からのメールはなかなかこない。


 悔しいくらい、涙があふれた。


だけど。


「………ああ、そう」

 悠里は、それだけいうと、再び背をくるりと向けてしまった。


「ちょっと、待ってよ……!どうしてなにも言わないのっ!?」

「今、俺が何か言って納得すんの?」


 なんで?どうして怒るの?

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