キスより先はお断り!
「ねぇ、美波ちゃんはそれでいいの?
好きな人に“好き”って言えなくて、“好き”って言ってもらえなくて」
痛い。胸がズキズキする。
あたしの心の深いとこで、思い出すようにジクジク痛みが湧き上がる。
「それに、一緒に、っていっても授業だけでしょ?
恋人ならするよね。二人で帰ったり、どこかに出かけたり……」
そう、あたしは悠里とそうしたかった。
でもそれは今のあたしたちにはできなくて、もどかしくて。
「手をつないだり……」
だれにもバレちゃいけないから。
そうしたら、あたしも悠里もあそこにはいられない。
安堂くんは、優しい声で言葉のナイフを突き刺してくる。
動けずにいたあたしは、手をとって引き寄せられる。
「……キスしたり」
安堂くんが少しかがんだのか、耳の近くで声がした。
でも、そのときあたしは一つ気づいたことがあった。
“キス”
ああ、そうだ。
あたしはいつもしていた。
「美波ちゃん。それって、本当に──」
「安堂くんは、ずるいよ……」
安堂くんの言葉をさえぎるようにつぶやく。
それには驚いたようだけども、距離は離れなかった。
「言うこと全部、頭や胸が痛くて、張り裂けそうになる。
ずっと募っていた不満とか愚痴とか、全部知ってるみたいに……」
「だって、僕は美波ちゃんを見てたから」
.
好きな人に“好き”って言えなくて、“好き”って言ってもらえなくて」
痛い。胸がズキズキする。
あたしの心の深いとこで、思い出すようにジクジク痛みが湧き上がる。
「それに、一緒に、っていっても授業だけでしょ?
恋人ならするよね。二人で帰ったり、どこかに出かけたり……」
そう、あたしは悠里とそうしたかった。
でもそれは今のあたしたちにはできなくて、もどかしくて。
「手をつないだり……」
だれにもバレちゃいけないから。
そうしたら、あたしも悠里もあそこにはいられない。
安堂くんは、優しい声で言葉のナイフを突き刺してくる。
動けずにいたあたしは、手をとって引き寄せられる。
「……キスしたり」
安堂くんが少しかがんだのか、耳の近くで声がした。
でも、そのときあたしは一つ気づいたことがあった。
“キス”
ああ、そうだ。
あたしはいつもしていた。
「美波ちゃん。それって、本当に──」
「安堂くんは、ずるいよ……」
安堂くんの言葉をさえぎるようにつぶやく。
それには驚いたようだけども、距離は離れなかった。
「言うこと全部、頭や胸が痛くて、張り裂けそうになる。
ずっと募っていた不満とか愚痴とか、全部知ってるみたいに……」
「だって、僕は美波ちゃんを見てたから」
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