キスより先はお断り!
ぽうっとするあたしをよそに、安堂くんは悠里に向き直る。
「先生。僕、美波ちゃんが好きなんです」
「───で?」
相変わらずの直球勝負の安堂くんに、飄々とした悠里。
聞いてるあたしのほうがドキドキしちゃう。
「美波ちゃんが望むことは僕ならできます」
「……そうかもな」
「ゆ、悠里っ」
そこは肯定しないでよ!
といいたかったのだけど、それを制したのは安堂くん。
「だから手を引いてください」
「断る」
誠実な安堂くんの言葉を、悠里はためらいもなく一刀両断する。
だからといって、安堂くんも引き下がらなかった。
「美波ちゃん、寂しいんですよ!?僕なら……っ」
あたしのことをとても考えてくれる安堂くんに、本当に申し訳なく想う。
あたしが思わず、一歩踏み出したときだ。
「悪いなぁ、安堂」
メガネを外して、ゆっくりYシャツの胸ポケットにしまう。
その余裕ぶりに、思わず安堂くんもたじろいでしまっているようだ。
そして、悠里はそのままあたしを背後から抱きしめた。
ゆ、悠里……?
他の塾生にも見られてしまうかもしれないのに、と考えるだけで、あたしはハラハラしていた。
けれど、その考えはすぐに吹っ飛んだ。
「それでも、コイツも俺も、好きなんだよ」
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「先生。僕、美波ちゃんが好きなんです」
「───で?」
相変わらずの直球勝負の安堂くんに、飄々とした悠里。
聞いてるあたしのほうがドキドキしちゃう。
「美波ちゃんが望むことは僕ならできます」
「……そうかもな」
「ゆ、悠里っ」
そこは肯定しないでよ!
といいたかったのだけど、それを制したのは安堂くん。
「だから手を引いてください」
「断る」
誠実な安堂くんの言葉を、悠里はためらいもなく一刀両断する。
だからといって、安堂くんも引き下がらなかった。
「美波ちゃん、寂しいんですよ!?僕なら……っ」
あたしのことをとても考えてくれる安堂くんに、本当に申し訳なく想う。
あたしが思わず、一歩踏み出したときだ。
「悪いなぁ、安堂」
メガネを外して、ゆっくりYシャツの胸ポケットにしまう。
その余裕ぶりに、思わず安堂くんもたじろいでしまっているようだ。
そして、悠里はそのままあたしを背後から抱きしめた。
ゆ、悠里……?
他の塾生にも見られてしまうかもしれないのに、と考えるだけで、あたしはハラハラしていた。
けれど、その考えはすぐに吹っ飛んだ。
「それでも、コイツも俺も、好きなんだよ」
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