~your Love story~
家に着くと、おいしそうな煮物とカレーライスの香りが漂ってきた。
「麻里ちゃん、お帰り。ご飯出来てるよ 」
「ただいま。ありがとう、お腹空いちゃった 」
私は洗面所で手洗いうがいをすると、リビングへ向かった。
今夜のメニューは里芋の煮物と南瓜のカレーだ。
「いただきます」と手を合わせて食事を頂く。
おばさんの料理は、昔ながらの味って感じでとってもおいしい。
たまにお母さんを思い出す。
「麻里ちゃんが来て、うちは明るくなったわ。最近学校はどう? 」
「うん……なんとか。楽しいよ 」
私が笑ってそう答えると、おばさんは「よかった」と笑みを溢した。
おじさんは仕事の関係で、夜遅くに帰ってくるから、あまり顔を合わせない。
寂しいのは、私だけじゃないんだよね。
二階の部屋へ上がり、ベッドに仰向けに寝転がる。
そっと手首を握る。
掴まれた感触がまだ残ってる。
沙木倉……奏祐……
何だか分かんないけど、彼のことを思い出していた。
《16へ》