~your Love story~
それから、私は彼の住むアパートへ行った。
緊張するけど落ち着く、何だかくすぐったい感じ。
慣れない手付きで包丁を握ると、人参を不器用な形にカットする。
「沙木倉くん下手~。ジャガイモは私に任せて 」
小さな部屋に2人の笑い声が響く。
スイスイと皮を剥いていくと、「さすがぁ~」とキラキラした目をして私を見た。
満更でもなくエヘヘと照れ笑いをする。
「それとさ、 沙木倉くんってやめない?奏祐でいいよ 」
「奏祐…… 」
名前の呼び捨てって、なんか照れ臭い。
ふと私の左頬に手のひらが触れる。
あったかい奏祐の体温が伝わってくる。
「っ……ごめん/// 」
先に視線を反らしたのは奏祐だった。
心なしか、頬が少し染まったように見えた。
見た目はやんちゃで恐れられてるのに、意外と可愛らしい一面もあるんだ。
私はふっと笑うと、その隣で黙って手を進めた。
《58へ》