~your Love story~
タクシーを降りて、一心不乱に足を動かした。
“宗宮大学付属総合病院”
ナースステーションへ行って、号室を聞くと慌てて上の階へ上がる。
“508”
荒い息を押し殺してドアを開けると、窓側のベッドで横になっている奏祐くんの姿が目に入ってきた。
「奏祐くん、なんで…… 」
ベッドに駆け寄ると、瞑っていた瞼をうっすら開けた。
「麻里也ちゃん?どうして…… 」
「私が連絡したの 」
後ろから声がして振り向くと、白衣を着た若い女の人が立っていた。
長い黒髪を後ろで束ねている。
「履歴を見たら、あなたの名前が一番に出てきたから……彼女かなと思って 」
その看護師さんはクスッと笑って奏祐くんを見た。
雰囲気が似てる。
もしかしてこの人……
「余計な事してんじゃねぇよ、姉ちゃん 」
ふてくされた顔をして、プイッと窓側を向いた。
やっぱり、奏祐くんのお姉さん!
学校で別れた後すぐ、バイクで事故に会って病院に運ばれたらしい。
命に別状はないみたいで、元気そうで安心した。
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