~your Love story~
私は晴れて浅香くんと付き合うようになり、校内でも公認の仲と言われる存在になっていた。
一部の女子たちは批判的だけれど。
お陰様で追っかけの数は大分減って、前よりは自由の身になったみたい。
「やっぱりファンタジーはいいね。大好き 」
今日は2人で映画館に来てるの。
たった今見終わって、これからご飯へ行くところ。
「今度ロミオとジュリエットがリメイクされるんだって 」
浅香くんからチラシを受け取ると、すぐにその世界に引き込まれた。
「今度これ見ようよ 」
2人で肩を並べて、たわいもない話をしているだけで幸せだった。
シネマ館を出た時、私の体は一瞬にして凍りついた。
見覚えのあるバイクが、目の前の道路に停まっていたから。
「どうかした? 」
「……ううん、行こっ 」
そう彼の腕を掴んで、右を向いた時だった。
人波に逆らって、ゆっくりと歩いて来る男の子が現れた。
奏……祐くん。
《60へ》