ティアラ2
「そりゃ、したいでしょ」

次の日、大学のカフェで直子と一緒にお茶をした。

直子は、愚痴をこぼしたあたしに囁く。

「……」

「深町だって健全な青年男子。年頃なんだから、したいに決まってんじゃん」

ぶうっと頬を膨らますあたしを横目で見ながら、静かに紅茶を飲む彼女。


「だって……痛いんだもん」

共感してくれると思っていたのに、直子が篤紀の肩を持つから、面白くなくて口を尖らせた。

すると彼女はティーカップを持ったまま、呆れた口調でつぶやく。

「痛いのは最初だけなんだけどね」


……え?

「ねぇ、直子」

「んー?」

自然とまばたきの回数が増えてしまう。

だって、その言い方は……。
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