ティアラ2
「あんたがムシャクシャしてるのは、ただのヤキモチ」

また直子の声が、耳にまとわりつく。

「あんたがいましなくちゃいけないことは、TAMAKIでモテることでもなく、その子への嫌がらせでもない。……深町との時間を作ることだよ」

最近、毎日のようにこの言葉を思い出す。それはきっと、胸に響くくらい図星だったからだ。


彼女のそばから離れ、2階へ戻っていく篤紀。

「……」

喧嘩っていう喧嘩はしてないけれど、謝ろうかな……。いまのギスギスした関係が続くのは辛いもん。

篤紀と話し終えた笹野京香が、なぜかこちらに歩いてくる。

「百瀬さん、先に休憩入って」

にっこり笑って、あたしが持つDVDに手を伸ばしてきた。

「え……?」
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