ティアラ2
「いい人じゃない」

あたしって単純だ。一瞬であの子への不信感がなくなったの。

「……ちゃんと謝らなきゃ」

篤紀に言おう。疑ってごめんね、って。


従業員専用の通路を歩くあたしは、さっき見た彼女の笑顔を思い出しながら、これまでの自分を反省する。

もうヤキモチはやかないって決めていた。……だけど。


「あれ、なんで?」

控え室のドアを開けて、唖然とした。ドアノブをひねるまでの緊張は、一気に薄らいでいく。

「あ、美和ちゃんお疲れさまぁ」

この時間の休憩は、ふたりだけのはず。なのに、なぜ竹下くんがご飯を食べているの?

「休憩……ですか?」

「あぁ、うん。さっきアッキーがきて、代わってくれって言われたんだよ。なんか、受注を間違えたみたいで、数え直しで時間がかかるからって」
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