ティアラ2
どうせ直子は思ってる。「周りに八つ当たりしてるだけ」とか「深町と仲良くなれば済む話だよ」って。

でも、それはあくまでも、その場にいないから言えることなんだ。


「たしかに……証拠なんてないよ。疑いまくるのはよくないと思う。

……でも、あるじゃない……女の勘っていうか、言葉じゃうまく表せないけれど、やな感じってあるじゃん」

テーブルに手をついて、調理場に目を向ける直子は、ふうって大きなため息をついた。

その様子を眺めるあたしは、わかってもらえないのが悔しくて、ブツブツ独り言のようにつぶやく。

スネたあたしは、目の前のバーガーに手を伸ばし、包み紙をわさわさとめくった。

「まぁ……もしも」

トレイの横にあるストローの袋を掴む、直子。

「もしもの話よ? ……その笹野さんって人が、あんたの言う通り、深町の休憩のことを知ってたとしたら」

捨ててくれるのだろう。彼女は手にしたゴミをクチャクチャと丸め、エプロンのポケットに突っ込んだ。
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