ティアラ2
「あんた、負けるんじゃない? 多分……その子には勝てないよ」

その言葉と同時に、調理場のほうから店長らしき男性の「樫原さん」という声が聞こえた。

呼ばれた彼女は「すみません」と返し、ここを去ろうとする。

「ちょっと待って! 負けるって……負けるってどういうこと?」

奥へ戻ろうとする直子を引きとめた。だって、いきなりで意味がわからないし。

「あたしはあの女に劣ってるとでも言いたいの?」

そういうつもりで言ったのなら、いくら親友でも許さない。……ひどいと思う。

エプロンの裾をギュッと掴んで、眉間にしわを寄せた。

「ねぇ、どういうこと? あたしのどこが悪いっていうの? ねぇ、直子! あたしの何があの女に……」

「ちょっ、ちょっと落ち着いて美和っ」
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