ティアラ2
「あんたは単純なの。ちょっとした変化にすぐ動揺して、すぐ感情的になる」

……単純、かぁ。それは、篤紀にもよく言われる。

「悪気のない相手にもそんなふうになるんだから、その笹野って人が……もしあんたに悪意を持っていたら、どうなるかわからない?」

考えてみる、どうなるのかを。多分、またあのときみたいに……あたしは自分で自分の首を締めてしまう。

「いちいち動揺しないで、どんと構えるのがいちばんだよ。何度も言うけど、あんたは単純だし、自分が思ってるほど強くないんだから」

直子はそう言って、奥の調理場へ戻っていった。


ゆっくり席へ戻り、食べかけのバーガーをかじる。まだ昼なのに、窓の外は少し暗くって……。

「雨、降りそう」

いまの気分、そのものだった。
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