ティアラ2
彼女を囲む竹下くんたちは、広げてある写真を手にして、その日の出来事を思い出しているみたい。

「結構です」

なによ、篤紀まで一緒になって……。

バンッと勢いよくロッカーの扉を閉め、笑顔で断る。

大きな音を立てたせいか、みんなは一瞬だけあたしを見た。けれど、すぐにまた写真へと目を向けていく。


……出勤したとき、彼女はすでに皆に囲まれていた。控え室のテーブルに写真を並べ、和気あいあいと騒いでいたの。

あたしがいないときの話。2ヶ月前に店を辞めた人の送別会で、焼き肉店やカラオケ屋に行ったらしいんだけど。

「聞いてないし」

先に、ひとりで控え室を後にしたあたしは、ブツブツつぶやきながらフロアへ向かう。
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