ティアラ2
それにしても、その場にいなかったあたしに「見る?」だなんて……。見ても面白くなんかないに決まってるのに。

「…………」

笹野京香が持っていた1枚は、みんなで集まってピースをしているものだった。

チラッとしか見ていないけれど、前でしゃがんでいたのが篤紀だろう。そして、篤紀の隣にいたピンクの服が……。

「どうしたの?」

「えっ……あ、ごめんなさい。何もないです」

無意識に荒々しい身ぶりになっていた。カウンターを叩くようにファイルを置いたことで、店長はびっくりしている。

ペコリと頭を下げるあたしは、店長が去った後、気を取り直して仕入れたばかりの商品を棚に並べにいく。

そのとき、従業員専用の扉が開いた。

「……」

仲良さそうに一緒に現れる、みんな。

何の話をしてるのか知らないけれど、笹野京香は篤紀の腕を掴み、腰を曲げて爆笑してる。
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