ティアラ2
「へーんだ、なによ偉そうに。ただの“バイト仲間”の分際で、欲しいのがあったら言ってね! ってふざけんじゃないわよ。彼女はあたし、このあたしなの! ばっかじゃないの」

ふんっと鼻を鳴らして、ロッカーからコンビニの袋を出す。

今日のこの時間はあたしだけが休憩みたいで、控え室には誰も来ない。

「写真くらい……」

ほんとは欲しい。あの子とうつってるやつはいらないけど、篤紀の写真なんて1枚も持ってないもの。

携帯電話を開く。

「これしかないし」

付き合い始めの頃の篤紀。直子たちカップルと4人で遊んだときに、嫌がる彼を捕まえて、急いで携帯を渡し、直子にとってもらったんだ。

篤紀はカメラが嫌いなの。レンズに向かって微笑むのが照れ臭いみたいで、いつも嫌がるんだ。

だから、紙の写真なんて……1枚もない。


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