ティアラ2
「……どうしたんですか?」

ドアを開けたあたしは、控え室の空気がいつもと違うことにすぐ気がついた。

いつもはガヤガヤうるさくて、みんな帰る準備をしているのに……。

今日はなぜかシーンと静まり返っていて、全員まだエプロンをしたまま。

「何かあったんですか?」

テーブルを囲うように集まっているから、変に思って近づいた。

全員、様子がおかしい。

いつも明るい竹下くんも真剣な顔。

「……っ」

突然、こっちを見た笹野京香が表情を崩し、顔を手で覆って泣きはじめた。

「え?」と首を傾げるあたし。みんなは「京香」と囁いて、彼女を心配しはじめる。

理由がわからないあたしは、スタスタ歩き、みんなが囲うテーブルの上に目を向ける。

「……えっ」

顔がひきつった。

出勤したときのように、テーブルにはたくさんの写真が散りばめられている。けれど確実に、働く前とは状況が違っていた。
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