ティアラ2
服を掴んで体を揺すると、彼はあたしの手を取り、うんうん頷いた。

「……やってない」

まだ疑われているような気がして、もう一度。信じてもらえるまで言うつもりだった。

すると、彼は深々とため息をついてから「ごめん」とつぶやく。そして……。


「ちょっとお前の素行を考えて、やりそうだなって思ってしまった。でも本当にやってないなら、疑って……悪い」

こう言ったんだ。

「……なにそれ」

マジで疑ってたの?

ショックだった。

彼氏なのに……いちばん味方でいてほしい人なのに。

そんな思いもむなしく、篤紀はまた真剣な顔で聞いてくる。

「本当に、お前じゃないんだな?」と。

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