ティアラ2
「今回だけじゃないのよ。普段から、篤紀はあたしよりあの女と仲良くしてて」

仕事の話をしているのはわかってる。だけど、気に入らないの。イチャイチャしてるようにしか見えないの。

「ほんと……どっちが彼女なのか」

「ねぇ?」

小さなテーブルにひじをついて、前に流れた髪の毛をかきあげる。そんなあたしに、直子は言った。

「あんたさ、そんな男のどこがいいの?」

思ってもみなかった言葉が飛んできて、思わずきょとんとしてしまう。

「どこって……」

「だって、聞いてるといいところなんて、ひとつもないんだもん」

言葉に詰まるあたしに、彼女は続けた。

「普段から冷たくて、自分より他の女の子と仲良くしてて、おまけに疑われたんでしょ? ……あたしだったら別れるな」

直子はズズッとアイスティーを飲みながら、突然鳴り出した携帯電話を開く。

相手はきっと太一なのだろう。画面を見た途端、顔つきが柔らかくなったから。

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