ティアラ2
メールを打ち始めた彼女を、静かに眺める。

アップテンポなリズムを奏でるかのように、キーを押す指はカタカタ音を鳴らしていて……。

「悪く言わないでよ、あたしの彼氏」

面白くなかった。

「直子に何がわかるの? 篤紀のこと、何も知らないくせに」

すっくと立ち上がり、伝票を持ってレジへ向かう。

「ちょっ……美和!」

まだ席にいる直子の声。急に不機嫌になったあたしに、混乱しているようだった。

「ごめんね」

呼び出して、いきなり怒りだして。

自分がおかしいことはわかっていたから、店を出る前に謝った。

そんなあたしを見つめていた直子は、呆れた表情をし、「いいよ」と言ってまた席につく。

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