ティアラ2
「あ……」

控え室のドアを開けると、真っ先に目に入ったのは大嫌いな女の姿。

「おはようございます」

「……おはよう」

ほらね、やっぱりみんながいるときとは、態度が全然ちがう。


こっちはきちんと頭をさげて「ございます」まで言ってんのに、このひとは偉そうに上からの挨拶だし、目さえ合わさない。
……ほんと、やな女。


「………………」

「………………」

ほらほらほら、肩を並べて着替えてるっていうのに沈黙でしょ。

しょせん、こんな女なのよ。みんな、だまされてるわ!

部屋にはふたりしかいない。会話もしてないから、響くのはロッカーの音だけ。

気まずいっちゃあ気まずいけれど、ぜーったいあたしから話しかけたりしない。この女の機嫌なんてとりたくないもの!
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