ティアラ2
あーやだやだ。早くここから出……。

「……」

なんとなく見た、笹野京香のロッカー。

綺麗に整頓はされているけれど、何年も働いているせいか、中は私物でいっぱいだった。って、そんなことより。

「笹野さん」

頭の中に浮かべたのは、落書きされていた写真。

「ん?」とこっちに向く彼女は、あたしの視線をたどり、ハッとした態度でロッカーの扉を閉めた。急いで。


「……」

じっと彼女を見つめる。

「……何?」

にっこりと微笑んではいるけれど、多分、やばいと思ってそう。

「なかに黒いペン、入ってますよね?」

絶対、あれはマジックだ。たたんである予備のエプロンに、押し込むように入れてあった。

スプレーや化粧品が多いから、遠くから見ただけじゃ気づけないとは思うけど。これくらい近いと、エプロンの色と全然ちがうから、すぐにわかってしまう。
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