ティアラ2
「え?」

きょとんとした顔。クリッとした丸い瞳にイライラした。

“お手洗いに行ってたの”

そういえば昨日、あたしが休憩から戻ったとき……この人はフロアにいなかった。

「ロッカーの中の……エプロンに挟んでたのは何ですか?」

ケイレンしたみたいに顔がひきつる。

……こいつだ。

絶対、こいつがやったんだ。

問いかけても、彼女は閉めた扉に手を置いたまま、まばたきだけをしていた。

「見せてくださいよ」

……この女、許さないっ!

詰め寄ると、彼女は思い出したかのように両手を合わせ「ああ」と微笑んだ。

< 171 / 527 >

この作品をシェア

pagetop