ティアラ2
「黒いペン? あるある。……これだよね? この前、この部屋で作業してたの」

明るく振る舞う、笹野京香。必死でごまかそうとするところが見苦しい。


「なんでそんなところに? ペンならいつも、そこに置いてるじゃないですか」

壁沿いにある棚の上を、指でさした。すると彼女は「あー」と笑いながら、こう答える。

「……間違えてポケットに入れてしまって、急いでたから」

とっさに考えた嘘だとバレバレだった。少し間があったし、返ってきた言葉は意味不明。

“みんな、百瀬さんを疑わないで”

よくも……。

“あたし、この中に犯人はいないって信じる”

よくもあたしをハメたわね。
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