ティアラ2
「普通、こんなとこに挟む? 隠してたようにしか見えないんだけど」

予備のエプロンをひらりと持ち上げ、彼女が手にするマジックを見る。

「あたしをダシにして、みんなの株をあげようって?」

鋭い目つきで顔を睨んだ。彼女の表情に笑みなんて、もうなくて……。


「……謝ってよ」

黙ってないで、何とか言いなさいよ。

「ねぇ、みんなの前で謝ってよ!」

二の腕を掴んで、ぐらぐら揺らした。でも、彼女の口からは「痛い」という言葉しか出てこない。

ムカつく。あたしに何か恨みでもあんの? 篤紀の彼女だから? あんた、篤紀が好きだからあたしに嫌がらせすんの?

「黙ってないで……」

「おい、なにしてんだっ」
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