ティアラ2
ガヤガヤうるさい店内をスタスタ歩く。

途中、レジにいた店長が気になったけれど、なんて言えばいいのかもわからないし、黙って出口へ向かった。


“醜いよ、いまのお前”

なんであたしが醜いわけ?

“金は俺が貯めるから”

もういいわよ、旅行なんてしないから。


あたしって雨女?

外に出たら、パラパラ雨が降ってきた。

もうどうでもよくて、濡れながら歩く。歩きながら、髪を結いでいたヘアゴムを引っ張った。

ボサボサの格好。

帰ったら、いちばんにお風呂へ入……。

ぐらつく足元。

あ、と思ったときにはもう遅く……。

「い……った」

手のひらや片膝に激痛が走る。

ズカズカと大股開きになっていたせいで、片首をひねり、道端で倒れてしまった。
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