ティアラ2
第2章
拾われた猫
大降りへとかわる雨。地面を跳ねた水しぶきが足元にかかる。
あたしの耳はまた音を拾いはじめ、止まっていた時間が動き出す。
「大丈夫?」
目の前には気に食わない男。
いつもは顔をみるだけでムカムカするのに、いまはなぜか、そんな気分にはならない。
逆にホッとする自分がいる。こんなふうになったあたしに頬笑んでくれてるから?
差し出された手のひら。吸い込まれるように、自然と腕が動いた。