ティアラ2
オープンしたってことは、エツさん……あの店では偉い人なんだ? 

てっきり従業員のひとりだと思っていたあたしは、話を聞きながら感心する。

けれど、ふと我に返った。

「おととしってことは……ハタチで!?」

そんなお金、どこからでるのよ!?

「あぁ。歳、聞いたんだ?」

「あんたたちの金銭感覚、おかしい」

来年のあたしは、そんなお金……絶対持ってないはず。

ぶつぶつ言って怪しむと、透吾はあははと大口を開けて笑いだす。

「まぁ、エツんちは金持ちだからな。小学生んときは毎月、小遣いで1万ももらってたんだぜ」

「はぁ!? 1万!?」

「そう、1万。ほんと金銭感覚が狂ってるよな」

透吾から聞くエツさんの話は、目が飛び出るくらいに驚きの連続。

「世の中には色んな人がいるんだなぁ。でも、あたしは……お父さんとお母さんの子供でよかったのかも」

うちのお母さんも会社を経営してるけど、お父さんはそこでただの従業員をやってるし、あたしを含めて子供が3人もいるから、決してお金持ちだとは言えない。犬のエサだってバカにならないしね。
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