ティアラ2
だけど、あたしは幸せだなって思うの。欲しいものがあったら、お母さんのゴマをすったり、お手伝いをしたり……。

「簡単に手に入れたものよりも、努力して手にしたもののほうが、きっと大切にできると思うし」

頑張った自分が嬉しかったりするしね。

エツさんの話を聞いて、改めて感じたこと。それを聞いた透吾は、車のロックと解除しながら、にんまりと微笑んだ。

「確かに君の言うとおりだとは思うし、俺もその意見に賛成かな。でもあいつはね、金じゃないところで苦しんでたんだよ」

そう言ってから聞かされた、エツさんが店を持つまでの話。

大きな貿易会社を経営する父を持ち、一人息子で大事に育てられてきたエツさんは、長年、夢を口にすらできなかったという。

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