ティアラ2
「えっと、希望ヶ丘……だっけ?」

「あ、うん!」

大きな通りに出てから、行き先を再確認する透吾。

やっと送ってくれるんだ、と思ったあたしはにっこり微笑んで、鞄から携帯を出した。

「あ、お母さんからメール……」

いまどこにいるの、と書かれてる。ずいぶんと遅くなったから、心配をかけてるのかもしれない。

もうすぐ家につく、と返すあたし。すると、運転中の彼が突然、こんな言葉を囁いた。

「少しは元気でた?」

キーを押していた指が、ぴたりと止まる。顔を上げると、透吾は前を向いたまま。

「もしかして」という考えが、頭のなかをスッとよぎった。

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