ティアラ2
「ほんとにもう……連絡くらいちゃんととっておきなさいよぉ。突然来られたから、お母さんこんな服で出ちゃったじゃない」

よそ行きの格好で対応できなかったことが恥ずかしかったのだろう。

お母さんはぶつぶつ言いながら、台所へ戻った様子。

二階の廊下でぼうっと立ち尽くすあたしは、キュッと奥歯を噛んで部屋に入る。

ベッドの上に放り投げた鞄と紙袋。

「……いたっ」

髪につけているコサージュを無理やり引っ張ったら、何本か毛が抜けてしまった。

イライラして、ため息をつきながらゴミ箱の前に立ち、コサージュから絡まった髪をとる。

「……」

ふと目についた、立て鏡に映る自分の姿。

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