ティアラ2
注意しているのに、兄の真は無反応。

ドアノブに手を置いて、肩を落とし、くらい空気を放っている。

「聞いてる?」

落ち込んでることに気づいて、というかのような態度。ていうか、絶対アピってるよね。

訊ねても返してこないから、呆れて「もういいよ」と言った。

長居されたら、どんよりした陰湿な空気が部屋に残るような気がしたから。

だけど、兄は一歩も動かず、ゆーっくりと振り返る。

「もう……借りたりしないよ。……昨日の夜、ずっと片想いしてた女の子に……彼氏ができたから、失恋気分に……浸りたかったのに……。お前が持ってるCD、ぜんぶ明るい曲で……余計に落ち込んだ」

「……」

やっぱり、話を聞いてほしかったんだね。
< 223 / 527 >

この作品をシェア

pagetop