ティアラ2
「何、今度は?」

うんざりした顔のあたし。でも、兄はドアの隙間からこちらをじっと見つめ……。


「遅くなるなら……前もって連絡くらい入れろよ。……母さんたち心配してたから」


か細い声でそれだけを言い、静かにドアを閉めた。

「……」

こういうところはやっぱり兄貴だな。

あたしは家着に着替えながら、にんまり微笑む。

そして、棚のまえでしゃがんで、兄が借りていたCDを引き出した。

「……確かに、失恋の曲なんて持ってなかったなぁ」

たいして音楽に興味がなかったあたしが、いつの間にかこんなにも、たくさんのCDを集めている。

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