ティアラ2
「……なんだろ? すごい人だかり」

信号が青になったのに、向こうにいるひとたちは歩いてこない。

みんな同じほうを見て、わいわい騒いでいる。

「なんだ、ワイドショーか」

何があるのか気になり、みんなの視線を目で追うと、そこには大きなスクリーンがあった。


ビルの壁に埋め込まれた画面。
興味がなくて、あたしは立ち尽くすひとたちをかき分けて、前へと進む。

そのとき、だ。

「答えることは何もありません。通してください!」

聞き覚えのあるハスキーな声が、大音量で流れた。耳を疑い、思わず立ち止まるあたし。

「契約はされてたんですよね!?」

「ないことはないでしょう!! 本当のところはどうなんですか!?」

「林田さんとの個人的な付き合いはあったんですか!? 彼女、泣いてましたよ!!」

恐る恐るスクリーンを見上げると、そこにはたくさんのリポーターにマイクを向けられている男性の姿。

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