ティアラ2
部屋へ入ったあたしは、ドレッサーに置いてあるコサージュに手を伸ばす。

「どうしよう」

靴や洋服、コサージュ……。

借りたもの、返せる日はくるのかな?

あんなに騒がれてたら、なかなか会えないよね。


と思ってたんだけど。

「…………」

4日後、透吾はなぜかあたしの前に。

「よっ」

大学を出てすぐに声をかけられた。

車に乗ったままの彼は、窓を半分まで開け、すがすがしく微笑んでいる。

「何してんの……」

「いいから乗って」

相変わらず、ひとの話を聞かない男。

勝手なことを言うものだから、思わず表情が歪む。

「乗って、ってねぇ……」

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