ティアラ2
いま自分がどういう状況に置かれているのか、わかってないの? こんなところにいたら……。

「ねぇ、見て」

「え、あれ透吾じゃない!?」

ほらほら。早速、見つかってるじゃない。

キャンパスにいる子たちの声を聞き、そばにいるあたしは冷や汗をかく。

「早く乗ってくんないと俺、パシャってされそうなんだけど」

携帯で写真を撮るふりをして、せかしてくる彼。

視線を追うと、騒いでる子たちが携帯のカメラをこちらに向けていた。

「……わかったわよ」

仕方なく助手席のドアを開く、あたし。

乗り込むとき、なぜか周囲がキャーと声をあげた。

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