ティアラ2
「そしてこれは、このあいだ仕事で撮った写真」

後ろに重ねていた1枚を上にする、彼。

「あ、スクリーンの……」

派手なメイクをした外国人の、迫力ある写真。

最近買った雑誌にも、この写真で作った広告が挟まっていた。

まさか、これを撮った人だなんて……。

だから、試供品をあんなに持ってたんだ……。

「すごいんだね」

改めて、業界での大きさを知る。

すると彼は、短くなった煙草を灰皿にこすりつけ、訊ねてきた。

「それのどこがすごい?」

「……え?」

何を言ってるの、と思った。

だって有名なブランドの写真を撮ってるんだよ? すごいに決まってんじゃん。

何が言いたいのかわからなくて、口ごもる。

透吾はふうっとひと息ついて、また海を見た。
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