ティアラ2
「……」
今夜のニュースは難しい政治の問題を取りあげていて、そこに座るキャスターの表情も、昼間のワイドショーとは全然ちがう。
けれど、彼はこのアナウンサーたちと同じで……テレビの中に住む有名人。そう考えたら、今日起きた出来事全てが夢のように思えてくる。

数時間前、海辺にとめた車の中で、あたしはモデルになることを承諾した。
満足げに微笑んだ透吾は、少しして倒していたシートを起こす。そして「そうと決まったら」とつぶやき、また車を走らせた。

そこを後にして、向かった先は……あたしんち。

何の連絡もせずにあのひとを連れてきたせいで、うちの中は一瞬でパニックに陥った。
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