ティアラ2
「笹野って?」

店長が部屋を出ていってから、篤紀に聞いた。彼は青いエプロンを棚から引き出して、にっこり微笑む。

「俺と同期で、バイトリーダーをやってるやつ。優しくて教えんのも上手だから、きっとすぐ慣れるよ」

「ふーん。リーダーなんているんだぁ」

同期ってことは、同い年くらいの男の子かな?

そういえば、今までバイトの話なんて聞いたことなかったなぁ。なんか、篤紀との距離がまた近くなった気がする。


「あ、仕事するまえにメイク直しとこ」

鞄をロッカーへ預ける前に、身だしなみのチェック。

篤紀は「またかよ」って呆れているけれど、今日は記念すべき第1日目。

篤紀と仲のいい人たちとも顔を合わせることになるんだから、第一印象はよくしておきたいもの。
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