ティアラ2
「んー、大丈夫かな?」
何かに迷いながら、車をUターンさせる彼。その隣であたしは、また空を眺め、さっきの月を探していた。

「あれ……」
窓を開けようとして、あることに気づく。
「ん?」
「あ、ううん」
チラッとこちらに向いた透吾には、何もないふりをした。

「……」
マニキュアのボトルがなくなっている。
昨日まではあったのに、と心の中でつぶやくあたし。

ばれないように横顔を見つめる。
「…………」
透吾が自分で片づけたのかもしれない。でも、この態度からして……気づいてはいなさそう。
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