ティアラ2
オレンジ色のライトに照らされる廊下を通って、たどり着いたリビングは想像以上に広々としていた。対面式のキッチンもきちんと片づけられていて、部屋の中央にあるテーブルやソファーも高級そうなものばかり。

「アイスティーでいい?」
「……うん」
好きにくつろいでと言われて、おとなしくソファーに腰掛ける。

殺風景に思うほどシンプルな部屋。色もモノトーンで揃えられているせいか、生活感がまったく感じられない。

落ち着かなくて、あたしは無意味に、鞄の中を整理していた。

整理を終えて、今度は目の前にあるテレビをぼんやり眺め、「大きいなぁ」って思っていたとき、透吾がキッチンから戻ってくる。

彼はあたしの前にアイスティーを入れたグラスをコトンと置き、気を遣ってくれたのか、テレビのスイッチまでいれてくれた。
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