ティアラ2
家の近くまで送り届けてくれた透吾は、車をおりたあたしに「まあ、頑張りなっ」と軽い口ぶりで励ましてくれた。「うん」と笑ったけれど、多分あたしの表情はかたかったと思う。

家に着いてからのあたしは、駆け寄ってくる愛犬の相手もろくにせず、おかえりと話しかけてくる家族にもテキトーに返し、すぐ自分の部屋に入った。

「…………」
これで4度目。篤紀は出ない。
あれから店に戻ったのかな? なら、あとでもう一度、かけてみよう。

メールを送ろうと文章を考えていたとき、1階からお母さんが「ご飯よ」と声をかけてくる。

『篤紀、さっきはごめんね。ちゃんと話したいから、仕事が終わったら連絡して』
読んでも、かけ直してはこないかもしれない。でも、メールくらいは返してくるだろう。……怒った文章かもしれない。でも、話せばわかってくれるはず。

そんな淡い期待を抱きながら、あたしは階段をおりる。そして、ソワソワしながらご飯を食べてた。
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