ティアラ2
急いで部屋に戻ったけれど、残念ながら携帯の画面にはなんのマークもなかった。

まだ仕事をしてるのかな、と判断してお風呂に入る。でも、すれ違いだけは避けたくて、あたしは湯船にもゆっくり浸からず、いつもより15分くらい早く出た。

時間はもう10時を過ぎてる。絶対、電話かメールがきてるはず。そう思うと緊張して、階段をのぼる間、あたしはため息ばかりついていたと思う。

けれど、ベッドの上の携帯電話は、一度も鳴ってはいなかった。

眉間にしわが寄る。
「…………」
胸の痛みをこらえながら、深呼吸をして発信履歴を開いた。……これで5度目。
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