ティアラ2
昨夜はあまり眠れなかった。
リビングのソファーで横になり、ただついているだけのテレビをぼうっと見ていたら、掃除機を持ったお母さんに邪魔者扱いされた。

「美和ちゃん」

……うるさいなぁ。悪いけど、いまそんな気分じゃないのよ。

「美ー和っ」

どいてくれ、と言うかのように掃除機の吸い込み口で足を触ってくるお母さん。それでもあたしは黙っていて、視線もテレビから外さない。

「美和! モカの散歩に行きなさいって言ってるでしょ!」
「……わぁかったわよ!」

とうとう怒鳴られてしまった。仕方なく、あたしはため息をつきながら、体を起こす。
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