ティアラ2
「やっぱりそうだったんだ! あっ」
「きたきた!」
「もう始めてますよー」
扉を開けた途端、部屋の中の声が明確に耳に入ってきた。
横長のテーブルにはたくさんの料理。それを囲む人数は、想像よりも少ない。

「うす」
こっちを向いた5、6人の男女に軽く挨拶をし、中へと入る透吾。

「透吾さん、前にここで頼んだ料理で白身魚のやつ……なんていう名前でしたっけ?」
「あ、透吾! これが終わった後でいいからさ、ちょっと相談したいことがあるんだ」
「え、そっちに座んの?」

全員、透吾を目で追って、一気に話しかけている。方々から話題を振られる彼は、聞いているのかすらもわからない態度で、静かに奥の空いた席に腰掛けた。

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