ティアラ2
メニューを開いている彼は、なぜ彼女がここにいるのかも説明してくれず……。
「烏龍茶ふたつで」
「了解」
エツさんに注文するだけだった。

「えー、飲まないんですか?」
「今日、車だから。この子も送らなきゃいけないから、代行も面倒くせぇしな」
混乱してるあたしへのフォローもなく、透吾はほかのひとたちと話し出す。

ムッとするあたし。すると、その様子を見ていた彼女が「何も聞かされてなかったのね」とつぶやいてから、丁寧に教えてくれた。

「わたしもスタッフなの、スタイリストとして。あの店のオーナーもしながら、彼の撮影に参加させてもらってるの」
「あ……そうなんですか」
このひと、オーナーだったんだ。貫禄があったから店長さんかなとは思っていたけれど。
「一応、ヘアメイクやネイルアートもできるんだけど……」
「陽子姉さん、それはあたしの仕事!」
突然、会話に入ってきたのは、キャバクラで働いていそうなくらい身なりが派手な、女性……?
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