ティアラ2
「わかってるわよ」
「ほんとにもうっ! すぐそうやって、自分ができる女だってことをアピールする!」
「してないじゃない」
「してるわよっ! そうやって透吾に気に入られようとしてるんでしょー!?」

割り込んできた彼女? ……は、目を細くして「陽子さん」につっかかる。

「あ、あの……」
なんだかワケがわからないけれど、もめられたら面倒くさい。そう思って止めに入ったら……。
「ヘアメイク担当の! アカネですぅ」
怒っていたひとはにこやかに微笑んで、あたしに手を差し出してきた。

「どうも……」
あ、女のひとなんだ。なんか、声がガラガラして男っぽいから、一瞬……。
「混乱してるみたいだし、言っておいたほうがいいんじゃない? ニューハーフです、って」
握手をするあたしたちを見ながら、ぽつりとつぶやく陽子さん。
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